WEBmagagine 鳥小屋通信第7号04.07.04
尾上のここ一年のことなど書いてみる・・・

 今年に入ってから特にこれといった更新もしてない鳥小屋サウンドですが、掲示板などで書いている通り、プライベートでは大きなイベントが続けてあったりしていたここ1年であります。引っ越ししてやっと落ち着いてきたこともありまして、ちょっとした区切りでもあるので、鳥小屋通信の前号からの私の足取りを中心に、書き溜めていた文章をざっとここに紹介してみたいと思います。

結婚、引越し
今年に入ってから結婚と引越し、という大きなイベントが続けてありました。僕の奥さんになってくれた人は、以前ライブに来てもらったり、ホームページ用のビデオ撮影をしてくれたり、矢野・松田&尾上のイラストなど描いていてくれたりしているルリ子さんというひとです。見てのとおり絵がうまいでしょ。彼女とはよく祭りとか美術館とか一緒に行きますね(先日はオノヨーコ展に行ってきた)。音楽は、ジャパンが大好きで各自のソロ含めほんと色々持っています(デビッドシルビアンの新譜は良かったですな)。他にも結構ツウな音楽を知ってます。ただ、以前ナパームデスを聴かせたら流石に嫌がってましたが・・・。それとホーミーも嫌いみたい。ホーミーの真似事すると怒る。なぜじゃ・・・ま、僕の音楽趣味すべてについて来るのは無理でしょう・・・・そんなやつぁ居ないって。 そうそう、最近はNHKで放映している「おじゃる丸」という番組に二人で填まってます。基本的には心温まる可愛らしい番組なんですが、時々ガロあたりにでも出てきそうなブラックなキャラクタが出てきて大人が見ても面白いんです。  というわけで、まったり仲良くやってゆきたいと思います。皆さんも暖かく見ていただけると嬉しいです。  そして、それと時を前後して新居探しをし、結果、多摩ニュータウン(とは言っても八王子市)に落ち着くこととなりました。丘の上ってな感じで、今までに比べ大分ゆったりした生活をしてます。生活がのんびりしてきたのと、以前に比べ早寝早起きになってきているのでインターネット見てるペースとか、かなり落ちましたね。ま、音楽を聴いたり、演奏したりは相変わらずやってますんで、今後もマイペースで活動してゆきます。適にサイトをチェックしてくださいませ。ちなみに結婚式は引越しなどと重なったためにまだ挙げていないのですが、そろそろプランを練ろうかなと考えているところです。

回擦胡にみる、僕のモノつくりについて
 さて、鳥小屋サウンド関連に話を戻しましょう。自作楽器に関して、近年のもっとも大きな収穫は、前号で紹介した電気弦楽器「回擦胡」なんですが、楽器つくりを含めたモノつくりに関して書いてみます。僕は、モノつくりをするとき、はじめから確りした青写真を描いた後、それをそっくりそのまま作り上げる、ということはあんまり出来なくて、なんか作ってみようと思い立ったらとにかく実行して、その過程において意外だったり、面白いと思ったことはどんどん取り入れ、こりゃ駄目だと思ったことはあっさり止める、というのの積み重ねでモノを作ってゆくという方法のほうが多いといえます。 だからあんま作業が効率的、論理的じゃなく失敗も多いし、仮にモノとして出来上がった場合も当初の構想からは全然違った形になってしまうんです。が、そういうプロセス自体が苦しみであり楽しみであり、予想外の展開にスリリングな魅力を感じます。まあ、無から何かを作る出すような天才ではないのでお手本になるものは勿論必要なんですが、まんまコピーをするってのが苦手なんで、たいてい途中からは自己流で何らかのモノを作り倒しちゃうってことかもですね。そんなことの繰り返しで今に至っている感じです。結構そんな作品を楽しんでくれてる人もそこそこ居るみたいだからホントありがたいです。  というわけで回擦胡も初めから確りしたヴィジョンがあったわけでなく、胡弓をつくろうという動機から、色々試行錯誤してゆくうちに出てくる色んなアイデアを取捨選択して付加してゆくうちに、こんなん出来ました〜、ってモノなんです。(その辺の過程を写真で纏めたのがこちらにあります)
 2003年はJABREC ART MUSICさんからのライブ出演のお誘いのおかげでこの楽器を多くの人に生で紹介することもでき、また優れたミュージシャンの皆さんとこの楽器でご一緒できたことも大きな収穫でした。

あのミュージシャンが!
 昨冬は、デビッドピールダモ鈴木といったフリークアウトしたミュージシャンのライブが東京であり観演しました。デビッドピールは、ジョンレノン&ヨーコオノとの交流でその筋では有名な人で、1972年にビートルズのアップルレコードからpoke smoke dope(ローマ法王がマリワナを吸う)というアルバムを出したが、すぐ発禁になったという経歴の持ち主。ジョンレノン風の丸いサングラスを掛けて歯をむきだしにしたピールのポートレートを中学生の頃見たときの衝撃は凄く、その後、ひょんなことで入手したピールのテープを愛聴して10余年。ジャンクロックという言葉はこの人から教わりましたです。 まさかの来日でしたが、キャプテントリップレコードの尽力で実現。しかもJABREC ART MUSICの佐藤行衛さんがキャプテントリップレコードと仲良しでピールのCD製作にも力を貸しているとのことで、色々繋がっててうれしい限り。60歳を超えたピール氏は、流石に以前のような絶叫ボーカルはあまりお目見えしなかったものの、声はデカく基本的な部分は以前のまま。英語が良く分からない観客へも構わず延々アメリカの現状らしきことを喋繰りまくる様は実にピール節炸裂してました。バックは、キャプテントリップのバンド、マーブルシープピールmeetsジャーマンロックみたいな感じでこれもなかなか良かったです。また共演は三上寛さんでこれまた濃厚以外のなんでもなかったです。三上さんは実は初めて見たのですが、歌とギターだけで、ある種日本の語り物的な、もう完全に独自の世界を表現してて圧倒されました。また、三上さんと(尾上がお世話になってる)JABREC ART MUSICの八木橋さんは過去によく共演されているとのこと。そうそう、以前に矢野・松田&尾上で一緒にやってたの矢野英男さんも三上さんと一緒にやったことがあるそうです。
 ダモ鈴木は、70年代のジャーマンロックを代表するグループCANのボーカリスト。僕は97年にも見に行ったことがあり、そのときはドイツのミュージシャン達によるバンドだったのですが、今回は、ダモさんを慕う日本のミュージシャン達がバックを務めるというもの。なんとピールのときも関わってたJABREC ART MUSICの佐藤さんが、今度はダモさんのバックでした。別のライブでは、やはり僕の友人でいまや人気ドラマーの立岩潤三さんがバック。 自分もそれなりに活動して人脈広げてきたとはいえ、音楽仲間の人たちが伝説の人と一緒に演奏しているとは。うーん、世の中狭くなったもんだなぁ、と思うと同時に嬉しくなりました。 ダモさんのライブは完全即興のようで、歌ってることも出鱈目言語のようですが、ワンコードの上を浮遊する歌は比較的メロディアスなもので、インスタントコンポジションとご自身が言ってますが、人によっては恰も作曲されたものであるかのように聴こえた人も居るのではないかと思います。相変わらずパワフルな歌声で、“ロックヴォーカル”インプロヴァイザーというのはダモさんならではのものと痛感した次第です。

アコースティックギター再び
 僕が楽器を弾くということを意識して初めて手にした楽器はナイロン弦のアコースティックギターで、小学4年生のときのことです。当時、ワーナーパイオニアという大手レコード会社で掃除係をやってた親戚のおじさんが、拾ってきた見本盤レコードを一杯くれたのですが、そんな中にあった3枚組のフォークギターの教則レコードがあり、それを聴いているうちに自分も弾いてみたくなった、というというのが切欠でした。最初はコードストロークで、アルペジオ、スリーフィンガー、カーターピッキング、オープンチューニング、ボトルネック・・・ってな感じで教則は進んでいくんですが、それらをナイロン弦のギターで、かいつまんで弾いて、まぁ、そこそこ弾けるとこまでいったんじゃないかと思いますけどね。でも、ま、うまかったとは言えないな。それはともかく、そんな感じでアコギをやっていたのですが、時が経つにつれ、エレキギター&ベース、シンセサイザー、MTR宅録、打ち込みといったことに手をつけ、挙句の果てにコンピュータプログラミングによるアルゴリズム作曲、リボンコントローラや回擦胡といった楽器の製作やその演奏・・・・・・・といったことに染まっているうちに、すっかりアコースティックギターからは遠ざかってました。
 それが昨年後半、職場でエレクトリックアコースティックギター関連のことをやることとなり、色々リサーチしている間、久々にアコースティックギター漬けの生活を送ることとなりました。尤も仕事場は兎も角、家にはエレキギターしかないんですね。だから家ではエレキギターでスリーフィンガーなどのアコースティックギターの奏法漬け、ということになりますが(笑)。 そんな中で読んだもので、季刊で出ているアコースティックギターのムック本でアコースティックギターマガジンというのがあるのですが、これ、内容が濃いですね〜。細かい機材関連の話や、課題曲も中級以上のレベルってかんじで、コードストローク中心のストリートミュージシャンが大勢居る中、こんなん弾く人が居るんだ〜とちょっと驚きました。20年以上前、バリバリにフォークしてた世代に非常にアピールする内容なんじゃないかと思いますが、若い人たちでレベルの高い人も結構居るのですね。  そんな中、高円寺で若い人たちが出てるライブに偶々出くわしたのですが、いつの時代も面白い人たちって結構いるもんですね。中でもURITAさんというアコギ弾きながら歌うミュージシャンは、実に素晴らしかったです。基本はフォークっぽいのですが、容姿や衣装がぶっ飛んでてなんじゃこれはと思わせたのもつかの間、歌い方、ギターの使い方や音色が、異端と正統を激しく振幅し、でもトータル的には整合の取れた彼ならではの音楽が演出されていたのです。奇形なところに目を行かせつつも、曲や演奏内容は実に確りしてるのがミソで、アイデアと実力を兼ね備えた人物と感じてます。彼の名前を見かけたら是非チェックしてみることをお勧めします。
 またリサーチしてて古いもので非常に感銘を受けたのは、カントリーブルースと呼ばれるアコースティックギター弾き語り系の元祖ブルースミュージシャン達。ミシシッピジョンハートゲイリーデイビスサンハウスロバートジョンソンビッグビルブルーンジーといった戦前〜60年代に活躍した人たちです。皆、ブルースという枠に居ながらも実に自由奔放で個性的な音楽を奏でており、幾つかはどこか壊れてるんじゃないの?ってくらい強烈、近年のクラプトンなどの洗練されたエレクトリックブルースとは違い、これぞアメリカの民俗音楽とでもいうような荒削りさが新鮮に感じました(そんなカントリーブルースが基となり、僕が愛聴してきたクリーム、レッドツェッペリンなどのへヴィなロック、エレクトリックブルース、またボブディランの音楽などが生まれて行ったのは実に興味深いことです)。 ミシシッピジョンハートなど先の教則レコードで曲を知ってて面白いなと感じていたのですが、やはり本物をみるとそのすばらしさを改めて感じますね。カントリーブルース関連では、ステファン・グロスマンという人が非常に丁寧な教則ビデオなどを出してますので、お薦めしておきます。
 てな感じで私自身、またアコギ奏法でギターを爪弾くようになったのですが、やはりなかなかうまくなりませんね。弾けるようになったと思っても数日ブランクあけちゃうと弾けなくなっちゃう。ま、これに関しては気張らずマッタリやって行けたらと思ってます。あと本物のアコースティックギター・・・欲しいですな(笑)。

というわけで・・・
 なんかだらだら取り留めなく書いてみた第7号、最後まで読んでいただいて、有難うです。先にも書いたように新居での生活も落ち着いてきたので、鳥小屋サウンドのネタになる音楽活動もしたいところです。

 


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