電気・電子・コンピュータ音楽の夕べ

プログラム

★第1部★

南場 敬介+米本 実
1)無題

2)イエスタデイズ
南場 敬介:オペレータ
米本 実:質問者

 コンピュータによってシーケンスされる自作楽器の音を、リアル・タイムでコンピュータに取込み、それを重ねて音楽を組立てます。
 しかし、演奏の何処をサンプリングするか、また音を加えたり、省くことは、観客への質問の返答(「はい」、「いいえ」、「わからない」の三つ)によって、すべて決定していきます。

南場 敬介+尾上 祐一
1)二人のオペレータによる二台の音信号処理機器のためのゲーム

南場 敬介 Computer
尾上 祐一 KORG Kaos Pad2

[a]. オペレータAは、以後のプロセスの対象の元となる音を機器に取り込み、音響的な加工を施す。
[b]. 一通り加工処理後、その音をループ再生し、待機する。この状態を「ホールド」とする。
[c]. オペレータBは、Aのホールド状態により再生される音を機器に取り込み、音響的な加工を施す。
   この状態を「プレイ」とする。
[d]. 一通り加工処理後、その音をループ再生し、待機する。
[e]. AはBのホールド状態により再生される音に音響的な加工を施す。
[f]. 以後、[b]〜[e] をくり返す。
[g]. A/Bどちらかの音が無音となるか、あらかじめ決められた時間、あるいはきっかけにより、
このゲームは終了する。

このような形で、与えられた音を、信号処理のピンポン合戦を二人ですることにより、どんどん変容させて行くというゲーム・ピースです。

2)ひざの上など繋ぐと軽い違和感くらいなんだよむが、

尾上 祐一 Ribbon Controller,Analog Sequenser with Osclator
南場 敬介 Computer

尾上が弾くリボンコントローラ、或いはアナログシーケンサーのフレーズに、南場のコンピュータ・プログラムによる処理を施します。原音のフリーキーな変容と、尾上の演奏タイミングに同期/逸脱して切り替わ
る音に注目ください。


★第2部★
ここでは3人が合同で、用意されたテキストに基づいた即興演奏を2ピースと、最後に完全にフリーな即興を1ピース披露します。テキストとの関連性から来るそれぞれのピースの印象の違いに注目しながらお楽しみください。

南場 敬介  PowerBook
米本 実   1号機、Theremin
尾上 祐一  KORG Kaos Pad2、Ribbon Controller、Analog Sequenser with Osclator

1)クリスティアン・ウォルフ(Christian Wolff)『演奏』

演奏せよ、音を出せ、短い音を、
多くの場合、はっきりした形を持った音を;
静かに;二回か三回、近くへ移れ
できるだけ大きく、しかし自分自身の音が
聞こえなくなったらすぐ、もしくは他の奏者が
聞こえなくなったらすぐに、やめよ。色々な間隔を
演奏の間に開けよ(二秒、五秒、不定);
時々、重ね合せよ。一回、二回、三回、四回、または、五回、長い音、
複雑な音、あるいは一連の音を演奏せよ。時々、
独立して演奏せよ、時々皆と合せよ:
他の奏者と一緒に(彼らが演奏を始めたり、やめたりしたときに、
あるいは、演奏している時、あるいは動いている時)あるいは、奏者は、
彼がコントロールできない(いつ来るか分からない)
信号によって(あるいは、二秒、あるいは五秒以内の信号)
演奏しなければならない(始める、あるいは、長い音で
始めてやめる、あるいは単にやめる)。ある
点で、あるいはずっと一貫して電子的装置を使用せよ。

クリスティアン・ウォルフ(1934〜 ):アメリカの作曲家。50年代よりジョンケージ、デビッドチュードアらと実験的な音楽分野を開拓。本作品「演奏」では、グラフィカルな記譜法に代わり言葉が採用され、演奏者に対し自由に決定する余地が多く与えられている。

2)米本 実(Minoru Yonemoto)『機能』

今、あなたが使用している機器、楽器で、以下に指定する音を出してください。
(各イベントは1分程度を想定)

[a].今のあなたの気分を表現してください。
[b].あなたが美しいと思う音を出してください。
[c].一定のリズム・パターンによるフレーズを出してください。(出来る限り、他の演奏者にリズムを合わせる)
[d].他の演奏者の音に合わせください(フレーズを真似る、ハモるなど)。
[e].「土曜の夜の渋谷駅前」のイメージで演奏してください。
[f].大げさな身振り(ノリノリ、陶酔して等)で、リズミカルに操作してください。
[g].観客に手拍子などでリズムをもらい、それに合わせて演奏してください。
[h].長い持続音を出して、演奏者全員で、神秘的な和音の響きを作ってください。
[i].一定に繰返すフレーズ、または機器に機能がある場合は、リズムトラックを流し、
  可能でしたら、観客に自分の機器を触ってもらってください。

3)フリーインプロヴィゼーション
完全フリーの即興です。


鳥小屋サウンドへ戻る